妻の従妹の結婚式。バンコクにいるので、是非出席をと。
少し前のある夜、ホテルに戻ると妻が「結婚式用のドレス、娘とおそろいで誂えたで」と淡いピンクの一着を。おお、それはよかった。うむ、僕はどうしたらよい、スーツ作るかい? 「あなたは、ジャケット着てネクタイしめるくらいでよろしくてよ」と。
会場は、チャオプラヤ川対岸のミレニアム・ヒルトン。タイの式は朝が早い。7時半過ぎにはホテルを出る。
まずは、ンガーン・マンという婚約式。めでたいピンクの白玉や、定番のお粥など、軽い食事と飲み物が供される。新郎新婦も普通に会場にいる。
そして、時間になると、新郎側退場。新婦は部屋の奥へ。
新郎を先頭とした行列が、結納の品々を持って新婦を訪ねる。が、物事はそう簡単には進まない。新婦側の親戚一族が(僕も含む)「金の門・銀の門」と称して、行く手を阻む。普通は金のアクセサリを両側で持つのだが、ここではキレイに作られたジャスミンの花も利用されていた。
「大きな声で、愛してるって言いなさい」「あいしてますー」「聞こえない! もう1回!」とか難題を吹っかけられながら、そしてそれをクリアしたりアンパオ(赤い封筒に入れたご祝儀)で懐柔したりしながら、徐々に突破していくのだ。
ミレニアムヒルトンからチャオプラヤ川を見下ろしながら妻の親戚の結婚式に参加している自身と、「ああ、20年前は僕は学生でバックパッカーでこの川を見ていたな」と、過去の自身との相違が不思議におもしろい。
指輪の交換などの儀式があって、また小休止があって、結婚式。日本で言うと披露宴。
ある程度人が集まったら食事が供される。合間に、馴れ初めを紹介する可愛いアニメのビデオが流れた。タイでは定番なのだが、なんだかじんわりきて、涙がこぼれた。