旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

EEST

荷ほどきをして、さっそく夕食へ。このレストラン、ホテルのウェブの紹介にはこうある。

「中華料理本来のルーツを大切にしながら、文化交流と同様他のアジア各地の味との自然な融合によって出来上がったメニューのほか、味わいの全く異なる日本料理、タイ料理、韓国料理も、同じ店内にご用意しております。 」

だがしかし、今日の目的はただ一つ。木曜夜の、「寿司・刺身アラカルト・ブッフェ・ディナー」なのだ。

ビールと日本酒も飲み放題。

生魚、生魚!! サーモン、マグロ、ハマチ、しめさば。


メニューがおもしろい。「カレフニヤ・裏巻き」ってなんだと思ったら、カリフォルニアロールだった。実態は最初の皿の写真の、カニかまとキュウリ。おお、異文化体験。日本発の料理がアメリカで手を加えられ、インドにやって来るとこうなるか、という、ある意味、瞠目。

よくみたら、いなり寿司が握りの扱いになっていたり、トマト握りなんていうのも並んでいる。

しかし、生魚が食べられるのはこの上なくうれしいが(この際、質は問うべきではかろう。インドで安心して生魚が食せるという事実のみで十分に歓喜すべきなのだから)、どうにも刺身の切り方に違和感がある。サクを買ってきて自宅で切ったけど、端の方はちょっとゆがんでしまった、みたいなのが並んでいるのだ。

「これ、シェフはたぶん日本人とちゃうで」と妻に言ってみる。

そして、妻はタイ料理を一品アラカルトメニューから追加。ヤムウンセン。

これが、美味い。二人とも、一口食べて「タイや!」と驚いた。

甘味、辛味、酸味などがバランスのとれた、ちゃんとしたタイ料理の味わいになっている。インドのレストランで食べたどこのタイ料理よりも、ちゃんとしている。

妻は、「シェフは絶対タイ人や。ちょっと聞いてみる」と、近くのスタッフを呼ぶ。

「ええ、そうです。タイ人のシェフがおります。よろしかったらお呼びしましょうか?」と。

で、やって来たスリヨン氏としばらく話す。クウェートでも働いていたことがあるそうだ。その話の中で「日本人シェフは今日はお休みで、ネパール人が代わりに入っています」と。ほら、やっぱり。刺身の切り方に感じた僕の違和感は正しかった。(だからどうだということでもないが)

「甘い物、ちょっといかがですか?」とシェフがテーブルに、サンカヤーのプディングを運んできてくれた。これまた、バイトゥーイ(ニオイタコノキの葉。タイ菓子の香りづけに欠かせない)の香りがぷんとして、しかも甘過ぎることなく、ちゃんとした味わいだった。