旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

金剛山

日本の冬の経験が少ない、南国産の妻と生まれてまだ2年に満たない娘の希望で、雪を見に行くことに。

マイルを使って札幌日帰り(ついでにラーメンと寿司を食べてくる)という案も出したのだが、あっさり却下され、近場で。

米原辺りに出るか、あるいは兵庫の北の方か、それとも京都の鞍馬辺りかと色々考えていて、近鉄だか南海だか御堂筋だかの車内広告で見かけた、金剛山へ行ってみることに。

南海に乗って河内長野駅。そこからバス。バスの行列の人の服装や持ち物を見て、ちと失敗したかなと予感する。冬山の格好をしている人が多く、子どもはスキーウェアだし、ソリを持っていたりもする。対して僕らは普段より少し厚着はしたというものの、ごくごく街中にいる格好そのままである。

バスの終点で既にこの景色。

おっかなびっくり歩く。

ロープウェイに乗るが、ここでベビーカーを持っている家族なんて、うちだけである。このまま上に上ると、さすがに困難が予想されるので(ここに来る前にそう思うべきだったか)、駅でお願いして預かってもらうことに。

なんとまあ、標高975mまで一気に上る。千早赤阪村営のロープウェイ。





いやいや、よい体験だった。まさか大阪府下でこんなに雪が見られようとは。

しかし、夕方の帰路はまずかった。ロープウェイの駅からバス停までの下り道、雪が降りしきり足元はところどころ凍結。僕も妻も普通の靴を履いていて、しかも僕のはもう靴底がかなりすり減ってつるつる。妻のは幸い少しぎざぎざしており、転びながら歩く僕を横目に子どもをしっかり抱くのは妻。それでも、一番急で凍っているところは、もうエイヤでお尻で滑っていく。

写真を撮る余裕なぞあるわけもなく、なんとかバスに乗り込んだ時には、生きて帰れた喜びにほっとした。雪山をなんだと思っているのか、というものだ。

この後、河内長野駅に着くまでに雪の気配は完全になくなり、さっきまでのあれはなんだったのだ、というくらいの世界の転換であった。

しかし楽しかった。来年はもうちょっとふさわしい格好をして、そしてソリを持って来よう。