旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

ロカ岬

カスカイス駅前のバスターミナルから乗車。

沢木耕太郎の「深夜特急」を読まなければ、今の自分とは完璧に違った人間になっていた気がする。高校2年の秋だったと記憶している。夜中を過ぎても止まらず、一気に最後まで読んだ。

そのときに感じた憧れから心に刻まれた「行くべき土地のリスト」は多々あれど、重要度の高い一つ。大学5回生の夏休み、バルセロナまでやって来て一度は目指した土地なのだが、金銭的理由からギブアップした経緯がある。

深夜特急以来、実に20年。ようやく、憧れの土地、ユーラシア大陸の西の果て、ロカ岬へ。

……と思っていたのだが、自身の旅行記を読み返すと、どうも深夜特急のときにはさほど感銘を受けていなかったらしい。むしろ、ロカ岬への強い印象は、宮本輝の「ここに地終わり海始まる」にあったようだ。

20年か、と思う。色々忘れるし、記憶違いも出てくるだろう。残念だけれども、それもまた、そういうものだ。

いずれにせよ、長年の憧れの土地であることには間違いがない。