旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

レー

レーを含め、ラダック地方に行ってきたという話をこの2週間ほど、偶然ながら複数の人から聞く機会があった。

一方、「インドにいる間に、パンゴンツォ湖に行きたい」というのは夫婦の共通の目標であった。

しかしながら、より正直に言うと、僕はこういう自然の見物を目的にする旅行より、時を経た人の営みの跡の方に興味がある。例えばカジュラホ。いずれかを選択せよとなると僕はカジュラホだし、妻はパンゴンツォ湖。だから結局湖になる。

とは言え、まだまだ僕らのインド生活は続く。そろそろ寒くなり始める時期だということもあって、そう言えば週末は3連休だと気付いたこともあって、出発の6日前にふいに航空券を取った。

そして、土曜朝のゴーエアの便で、レーへ行くことにした。

ここ、インドへ来た2年前の11月の頭に初めて来たが、既にシーズンは終わっているときだった。のみならず、頸椎のヘルニア(主にストレス原因)をやらかした時期で、寒いは痛いわで、肉体的にはつらい旅行だった記憶がある。

だが、チベット仏教の僧院を巡る2泊3日は、素敵な旅であった。ラダックの人々は、東・東南アジアの出身である我々にとっては、デリーにいる人たちと比較すると、驚愕するほど馴染みやすかったことも大きな要因である。そう、食事もしかり。

で、再びのレーである。デリーから北へ、1時間15分のフライト。標高、3,650m。出発の前々夜から高山病予防の薬の服用開始。金曜日からは禁酒。そして今朝からは水をたっぷり飲む。デリー空港のラウンジでも、軽く朝食を取りつつ、とにかく水を飲んでいた。

ここまで高いと、森林限界を超えているので、生命の気配のない茶色い山の間を縫うように飛行機は着陸する。遠くない山の頂は、既に雪を抱いている。まるで、どこかの惑星に下りるような気分だ。

レー空港、クショック・バクラ・リンポチェ空港(インドの空港は地元の偉人の名を冠すことが多い)。

宇宙が近く、空が青い。気温は低いが、日射しがちりちりと刺してくる。

囲む山に緑の気配は無い。

ホテルに到着。

庭に花が咲き、気持ちがよい。

ウェルカム・チャイ。旅をしていると、甘いチャイが美味い。

部屋の窓から、旧王宮が見える。

妻が持ち込んだお菓子。気圧が低いので、ぱんぱんに膨張。

昼食をとりに、表へ。普段の7割くらいの足取りでゆっくりと進む。賑やかな通りに面しているので、土産物屋もレストランも、そこかしこに。