旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

アソラ・バッティ・ワイルドライフ・サンクチュアリ

ガンディーの誕生日で祝日。6時20分にスープの冷めない距離にいる友人と待ち合わせ、自転車に乗って出発。

朝のムールチャンド交差点。

水道管が壊れていて水が湧いているここの交差点では、早朝いつもこうやって身体を洗う人たちがいる。彼らの垢を落とした水の一部はまた水道管に戻り我が家まで届くのだろうかということは、考えないことにしている。

基礎体力が段違いの友人はすいすい先に進み、途中で既に視界から消えてしまった。不安になりながらもひたすらペダルをこいで来たが、予定されていた集合時刻からは遅れている。着いても誰もいなかったらどうしたものかと思っていたら、後ろから「おはようございます」と日本語が。この人も若干遅れ気味で到着。皆、待っていてくれた。よかった。

南デリーの我が家から、南へ10km。アソラ・バッティ・ワイルドライフサンクチュアリの入り口。

ここが集合場所で本日の出発地点なのだが、既にここまで走ってきたことで、はぁはぁ。十分な一仕事を終えた気がする。

この一帯、ラジャスタン州から始まるアラヴァリ山脈の北端で、デリー尾根と呼ばれる辺り。世界的にも最古の山系。ヒマラヤ山系の5千万年の歴史に対し、ここは15憶年も遡ることができる。

ヒンドスタン平野とも交わる場所で、生物多様性が素晴らしいらしい。193種もの鳥、80種以上の蝶、ニルガイ、ブラックバック、インドウサギ、ジャッカルだとかジャコウネコだとかも棲息しているとか。1986年より保護区。(以上、全部ウィキペディア

さあ、何に出会うのか。

スタートして5分でラクダ。

牛。

山があるので上ってみる。石英質の粒の大きなきらきらした砂をざっくり歩いて上る。

おお、見晴らしがよい。たった10km来ただけなのに、街の風景が完全に消えて、自然。

さらに走ると湖。

多少のアップダウンがありつつ、有刺植物の覆う道をイテテと言いつつ、またタイヤでそれらを踏むことを避けつつ進む。


あ、ラクダ。

あ、水浴びする水牛。

あ、木の上に猿。

気持ちのよい走りだった。そこいらに落ちている大小の動物の糞は相当量であり、まあ、かなり踏んづけながら来たが、それでもなお、青い空と清浄な空気はなかなか普段のデリー生活ではお目にかかれないものだ。でも、体力不足から後半は前の人に着いていくのが精一杯で、よほど意識して顔を上げないとなかなか青い空を堪能するまではいかなった。

小道がそこかしこにあるが、ぐるっと回るコースを走ってきた。ここを開拓して、GPSも備えて案内していただいた先達に感謝。

さて、「明日朝10時にここに」とお願いしていた運転手が、10時半にゴール地点に戻ってみて見当たらないので電話をかけたら「9時45分からお宅のガレージでスタンバイしています」と。

久々のミスコミュニケーション。10時に自宅発で、ここに来ると思ったらしい。前夜、予定を伝達するとき、こちらも疲れてたしなと思うものの、一緒に車に乗って帰りましょうと言っていた友人をも1時間以上待たせることになり、大変恐縮。

ところで、今回のツアーに参加する前から、先達より「トゲトゲ」については色々聞かされてきた。タイヤはいちおうスライムチューブに入れ替えてきた。途中で空気が抜ける人もいたが、僕は幸い問題なく走り通せた。しかし後日、チューブをじっくり見てみると、前輪に3箇所、後輪に5箇所、しっかり穴が開いていた。

友人の薦めに従って、パッチを貼る。これが土曜の半日を使った。パンクしたら自転車屋に持ち込むものだと思っていたが、どうもこの趣味の世界では、そんなもんくらいは自分でなんとかするらしい。

手間はかかったが、自転車に愛着が増してきたのも事実である。

うん、またすぐにでもどこかに乗りに行きたいものだ。