旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

Magic Food Point

朝6時前、まだ外は暗い、スワンナプーム国際空港。

市内のホテルに向かう前に、空港1階の端にある食堂でタイ料理。


ごくごく普通のタイ料理だけど、胸が高鳴る。美味しい料理って、そういうものだ。

この後タクシーに乗ったら、まあ珍しいことにメーターを使わずにぼったくってくるタクシーだった。

しかしそこはそれ。僕なら、があがあ文句を言って喧嘩するところだが、タイ語の交渉のプロと一緒である。彼女に目で「あんたは黙ってなさい」と諭され、大人しくする。

妻「メーターつけ忘れてませんか」
運転手「700バーツです」
妻「変ですね。メーター制ですよね」
運転手「こちとら、客待ちで3時間もいるんだから」
妻「じゃ、結構ですので、もとの乗り場に戻ってください」
運転手「むにゃむにゃ」
妻「ほら、ここでUターンしないと」

しかし、黙って市内へ向けて走り始める。彼とて、またリセットして3時間待つのは嫌だろう。かと言って700はないだろう。というか、メーターを使わない空港タクシーって過去の遺物かと思っていたが、まだいたのだということに驚くとともに、旅情を誘われた。推測だが、この運転手は、僕らを外国人(日本人)だと思ったのではなかろうか。

妻「市内のホテルから予約したら普通450くらいで行くので、500だったらいいですよ」
運転手「それだったら」
妻「じゃあそういうことで。その金額で、空港利用料も、高速代も全部込みね」

ほぉ、と思った。妥当な範囲だ。メーター+空港利用料+高速代+チップでだいたいそんなものになるので。

最後の条件の出し方が特に秀逸だった。

そりゃ、この人相手にタイ語でやり合って勝てるわけがない。夫婦喧嘩だって、毎回最初から僕の負けが決まっているのだ。