旅にある日々

異国での生活と、日々の旅。バンコクに9年、ニューデリー3年。今は、12年ぶりに日本。

中國皇宮大酒楼・CHINA PALACE CHINESE RESTAURANT

「中華が食べたい」と父のリクエスト。

たまたま僕と妻の誕生月が今月なので、「誕生日祝いだから、何でも頼みなさい」と太っ腹にも言ってもらう。なので、こちらも遠慮しない。

お酒は買い込んでいたカヴァ、フレシネ、コルドン・ネグロを持ち込み(無料←タイは酒の持ち込みがしやすい)。

フカヒレスープも、自分たちではなかなか頼めない品質(値段)のものを頼む。

基本的に味に違いはなく、フカヒレの品質の問題。高くないものは、それなりによく食べている。中華街でも、屋台で300バーツからフカヒレスープが食べられる。もちろん、スープの作り方に屋台とこういう店とでは差があるものの、フカヒレそのものは、物としては変わらんやろうとこれまで思っていたのが、見事にひっくり返された。大振りの一切れを口に入れると細やかな繊維にほどけ、舌をやさしく撫でる。思わず頬が緩む快感。

「北京ダックか子豚丸焼きかどちらが良いか」という問いへの父の返答は豚だった。

酔っぱらいエビ。活きたままのエビを紹興酒(不確か)で酔わせる。ガラスの容器に入ったエビに酒をふりかけ、これでもかというくらいシェイクしてくったりさせる。(写真撮らせてとフタを開けてもらった際、元気な一匹が飛び出してびっくりした)

しかし、我が身に置き換えてみたら、「うわー、飲み放題や!」と喜んでいて、酔っぱらって眠り込んでいたら悲劇が訪れるようなものだ。

鍋のフタにはちょうどエビ一匹分のサイズの小窓があり、そこからくたっと酔ったエビを放り込み火を通す。

皿に取っておしまい、ではない。

酒を振りかけ、火をともし、香りづけ。この上なく食いでのある、身の詰まった美味いエビだった。

自身がエビでなくて、エビを食べる側で本当によかった。

先ほど皮だけをさくさく食べた子豚の身は酢豚になって再登場。肉の調理法も選べるのだ。ただ、こちらは食べきれず、残りはパックしてもらって家の駐車場の警備員にあげた。(日本人の感覚だと人に残り物を、というのは引っかかるものがあるが、妻曰く「運転手やお手伝いさんにあげるのは、よくある話」。ただ、うまいなぁ、と思うのは、実際に警備員にあげるときの妻の物言いが「あげます」ではなく、「食べきれなかったので、よかったら手伝ってもらえると…」というものだったこと)